ももがみさま

 

 

桃は地球の果物ではありません。

 

 

 

 

 

遥か銀河の彼方にある、まだ私達人間が輝きを知らない星に

 

 

 

誰も何も立ち入ることのできない楽園があります。

 

 

 

 

 

その楽園の奥の奥

 

茂みをかき分けたその先の先

 

ぽつんと一本太い幹

 

見上げると枝葉に実るその果実
きめ細やかな肌から香る
高貴な甘みと優しい酸味。

 

 

 

 

 

 

 

唯一、その星を統べる者だけが

 

 

その果実を手に取ることが出来るという。

 

 

その者の心は
強い正義感とわずかな好奇心のみで構成されていて
この星において、この宇宙において
秩序を保つ者でもあった。

 

 

 

 

長い間、この者はその星で一人ぼっちだった。

 

 

 

 

一人を嘆くこともなく、ただひたすらその星を守り続けていた。

 

 

 

 

 

 

 

 
変化は突然現れた。

 

 

 

 

 

 

 

楽園を飛び回る、一匹の蝶と話をした時だった。

彼女は遥か彼方の「地球」という星からやってきたようで、その星には彼女の仲間が沢山いると言う。

 
仲間とは何か
二人を知らないその者は

 

 

仲間という言葉の真意を知りたかった。
「仲間に会いに行く」
そう言ってその者は地球へ向かうことにした。

 
「これから長い旅になる。

蝶よ、共に行かないか?」

 

 

 

しかし返事はなかった。

 

 

 

 

 

 

 

仲間のいないこの星で、蝶は孤独だった。
孤独は蝶を包み込みその生命力さえも奪ってしまった。

 

「仲間とは、命を繋ぐものなのか」

 

 

その者の仲間への好奇心は膨らみ

その膨らみは神秘の果実にも伝染した。

 

 

 

 

その者がふと見ると、果実は大きく大きく成長していた。
「よし、これに乗っていこう。」

 

その者は大きな果実に乗り込み地球へと向かった。
仲間を探しに、向かった。

 

 

 
どんぶらこ、どんぶらこと、向かった。

 

 

 

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念願の千疋屋の桃パフェ。

本当に、美味しかった。奇跡かと、思った。

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